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「留学はただの手段だ」 とある修士トビタテ生の日々の記録です.食品に関する研究をしています.9月から米→仏→蘭と留学します.

遺伝子組み換え作物と誇張したネットの情報について考えてみた

 

あくまでこれは未熟な学生の考えなので間違いもあると思います.

 

自分の思考を整理するためのメモ書きです.

 

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ネット上には食品に関する誤った情報が溢れている.

理系学生は当たり前にネットの情報を信じるなと教えられるが,中でも食品という分野には本当に誤った情報が多い

以前から危惧していたことだけど,「食品」という人の生活に近すぎるテーマは,時として人々の不安を扇動し,ビジネスに結び付けようとするかのような誤った科学を蔓延させる

(ここでは何がとは言わないけどね,鵜呑みにする前に自分も調べようねと)

 

 

最近,語学力向上の意味を兼ねて食品に関する英文記事を読むようにしている.

 

そしてこのような記事を発見した.

 

www.environmentalhealthnews.org

 

 

ラウンドアップという除草剤をご存じだろうか

 

生化学を学習したことのある学生なら一度は「ラウンドアップ耐性作物」という単語を耳にしたことがあるはず.

ラウンドアップとは米国モンサント社が売り出した除草剤のことで,世界中で最も使われている除草剤ともいわれている.

 

ラウンドアップ耐性作物は所謂 遺伝子組み換え技術 を使って薬物耐性を組み込んだ商業作物のことで,大豆が特に有名.

 ラウンドアップとは商品名で,商品中のグリホサートという成分が植物のアミノ酸合成を阻害することで耐性を持たない雑草類を枯らせてしまう.

 

この記事では,1980年代から始まったアメリカの環境保護局(EPA)と,利権を守ろうとするモンサント社の争いについて書かれている.

 

ラウンドアップは速やかに土壌で分解されるため残留しないと謳われているが,実際に食品や排泄物中から検出されたという報告もあるらしい.

 

 両者の主張は食い違っていて,マウスに対しての実験をしたところ腎臓ガンなどの腫瘍の発現,肥大が確認されたと報告.一方でモンサント社は因果関係を否定し,今日まで販売停止を逃れて発売してきた模様.

 

この記事はEPA寄りの目線で書かれているためどちらが正しいとは決め打てないけど,この機会に巷で騒がれ続ける遺伝子組み換え作物について憂いていることを書いてみた.

 

そもそも遺伝子組み換え作物とは

 

 生物の細胞から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、植物などの細胞の遺伝子に組み込み、新しい性質をもたせることを遺伝子組換えといいます。

引用元:文部科学省 

 

要はなんでこんなに騒がれているかというと,もともと違う種に存在していた遺伝子を引っ張ってきて,植物の遺伝子に組み込むという不自然性・倫理的側面から異を唱える人がいるからではないだろうか.

技術的な面でいえば遺伝子を狙った場所に組み込むために何度も試行するなんて問題もあるが,それを理解して批判している人ってごく一部な気がする.

 

 上記の記事でも作物自体が悪いとは言っておらず,それに伴って使用されるようになったグリホサートによる危険性について言及している

グリホサートの摂取による健康被害についてはこの記事だけでは断ずることはできないが,作物自体を食べることによる健康被害についてはまずないと考えられる.

 

そもそも,遺伝子の一部を組み替えたものを食べただけで身体に異常が起こることは,僕の頭で考えてもあり得ないことだろうと推測できる.

DNAなんて結局アミノ酸が繋がったものに過ぎず,胃酸のような低pH化で容易に酸変性して消化され,そのままの形でいられることなんてまずない.

なので例えば中には抗生物質耐性作物なんてのもあるけど,まず僕らの体に抗生物質耐性が付与されるなんてのは考えにくい.

 

僕の知識では遺伝子組み換えについて自信をもって説くことはできないが,本当に憂うべきことは

ネット上には大量に 遺伝子組み換えを行った作物自体が悪 と断ずるような記事が多くみられることだ.

そしてその記事の最後には大抵,有機野菜や健康なサプリメントなどの宣伝が抱き合わせで綴られている.

記事の作成者は自己の利益のために都合よく解釈した文章を載せていると言わざる負えない.

これが,食品というテーマの周りにエセ科学が蔓延しやすい理由だと思っている.というか間違いない.

 

例えば今の食品表示法では,遺伝子組み換え作物が含まれる割合が5%以内なら表示をしなくてよいとする法律の欠陥を指摘する記事なんかもあったけれど,別にこれは抜け穴を用意しているわけではないと思う.

アメリカのような超大規模農業では,大豆などの農産物に一度遺伝子組み換え品種が混ざってしまうと,収穫物から完全に組み換え品種を除くことができなくなってしまうからだ.(彼らの大雑把なやり方に関しては残念だが)

 

 

遺伝子組み換え作物は危険なのか

先述したように,遺伝子を組み替えた作物を摂取すること自体には何ら問題はないように思う.

しかしこれらの特異的な性質を有した種の誕生で,生物の多様性が失われることは否定できない.実際にラウンドアップ耐性を持つ雑草の出現といった問題は起こっているし,その結果薬剤の使用が増加したと聞く.

結局,この問題は様々な因果が複雑に絡み合っていて,どこまで行っても収拾することはないだろう.

 

 

遺伝子編集作物の登場

ここ近年,新しい技術が登場した.遺伝子編集だ.

特に近年,クリスパー(CRISPR/Cas9)と呼ばれる技術は,ノーベル賞確実との呼び声高いバイオテクノロジーだ.僕は農学部じゃないので詳細は分からないが,この方の記事が本当にわかりやすくまとめられていた.

 

クマムシでも分かる。ノーベル賞候補・ゲノム編集技術「CRISPR/Cas9システム」 - クマムシ博士のむしブロ

 

 

この技術を使って改良される農作物は,他の種からではなく同一種内の優位な遺伝子が導入される.そのため,遺伝子編集作物は遺伝子組み換え作物と大きく異なるといえる.

 

遺伝子編集作物の今後に関しては依然不明なことが多いが,少なくとも他種から作為的に導入されることに起因する不自然性は生じないため,遺伝子組み換え作物とは違った扱いがされるんじゃないだろうか

 

遺伝子組み換え作物は研究者が長年,作物の生産性を上げようと努力した形なのであって,その言葉のイメージから一概に悪であると断じてはいけない 

 

と僕は思う

 

おしまい